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逆転しない正義

いよいよ「あんぱん」も今月末で終了となります。作者のやなせたかしさんの様々な言葉が印象的なドラマでした。そんな中で、終戦後にのちに奥様になるのぶちゃんに語った言葉が今月の言葉です。

 戦時中に正義と思ったことが戦後には逆転し、多くの人びとが翻弄されたことでしょう。愛国教育を子どもたちにしてきたのぶちゃんはそのことを自ら攻め、苦しんでいるときにたかしさんがかけた言葉でした。

 正義、価値観と申しましょうか。価値観は時代時代に変化していきます。現在、ハラスメント、コンプライアンスという言葉をよく耳にしますが、今から30年前には聞いたこともない言葉でしたし、テレビ番組もその時代の価値観で作られたものも多かったと思います。その当時はそれが正義だったのかもしれません。最近ではそれが様々な問題となっています。

 「逆転しない正義」とはいったいなんなのでしょうか。決して変わることのない価値観、ふと頭に浮かんだのが『歎異抄』の言葉です。

「よろずのこと、みなもって、そらごとたわごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞまことにておわします」(『歎異抄』後序)

 これは、「世間には、うそやいつわりの言葉、中身のない言葉ばかりで、まことの言葉はない」と申され、ただ「念仏」のみが真実であると申されました。いつの時代もそうなのかも知れません。なにが本当でなにが嘘なのか、なにが正義で何が不義なのか。そもそもそういうものは存在しないのかもしれません。なぜなら時代とともに変化していくからです。本当の真実とは不変でなければならないのではないでしょうか。

 「ただ念仏のみぞまこと」とは、念仏すなわち阿弥陀如来の「必ず救う任せよ」という慈悲は決して変わることがありません。十方衆生、あらゆる人に対してのお喚び声です。 全ての人を幸せにするお喚び声、この度、人に生まれ念仏申すその声こそが阿弥陀さまであることを喜ばせて頂くご縁を有難いと喜ばせて頂きます。